2020年版「中小企業白書」(3)

中小企業白書からのトピック(3)です。今回は、差別化や新規事業による付加価値の増大をご紹介します。

差別化と新規事業

企業は、モノやサービスを買ってもらって売上や利益を得ますが、買ってもらう理由がそこにあるからです。他の企業のモノの仕入れや部品になる、又は買った個人の生活が豊かになる等です。そしてそのモノやサービスを生み出す源泉となるものが優位性です。

高機能なモノを提供できる(製品優位性)、商品を安く提供できる(価格優位性)、何らかの満足感を与えられる(サービス優位性)、これらの優位性を保ちながらモノやサービスを提供しています。そしてこの既存の優位性を活用して、新商品・新サービスを生み出すのが、差別化と新規事業になります。

差別化・新規事業がもたらす付加価値

出典:中小企業庁ウェブサイト (https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/                    2020/PDF/2020_pdf_mokujityuu.htm)

上記の解説では、「新たな製品・サービスの開発など、顧客に新たな価値を提供するような他社との差別化は、付加価値の増大につながり、生産性の向上に貢献」、
また「一般に、販売数量と販売単価は、トレードオフの関係と考えられているが、新たな事業領域に進出した企業の約4割で、数量・単価が共に向上」とあります。

確かに、上記「図2」から、新規事業領域に進出した企業のうち、39.8%が販売数量の増加につながり、18.7%が販売単価の上昇につながっています。

事例

出典:中小企業庁ウェブサイト (https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/          2020/PDF/2020_pdf_mokujityuu.htm)

ここで、事例を紹介します。大きな特徴は、新規事業に進出したことにより、下請企業から脱したことである。下請け企業からの脱却は中小企業にとって大きな飛躍の契機となるものです。ここからも新規事業進出が中小企業の発展のカギとなることが分かります。

また、コア技術を発展させることにより、シェア拡大につながった事例も重要です。先ほどの優位性を最大限発揮するようにさせる事が、カギであることも見て取れます。

まとめ

新規事業への進出や差別化が、中小企業にとって事業発展の重要な要素であることが分かりましたが、大事なことは常にその構えと努力を継続することだと思います。

自社にない技術やサービスを新しく生み出すのはかなりハードルが高いです。今持っている優位性はどこにあるか、その優位性を高める方途はあるのかを常に検証していくことで、価値ある新しい取り組みが生まれると思います。

2020年版「中小企業白書」(2)

中小企業白書からのトピック(2)です。

労働分配率について

出典:中小企業庁ウェブサイト (https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/                    2020/PDF/2020_pdf_mokujityuu.htm)

まずは、労働分配率についてですが、その前に付加価値の概念を理解する必要があります。付加価値とは単純に考えれば企業(個人)がモノ(サービス)の売上から、材料等の仕入れを引いた額の事ですが、かかった人件費は考慮しません。

人件費は、得た利益を従業員に分配するものとの考え、上記の付加価値に対して分配した利益の割合を「労働分配率」といいます。(上記「図1」参照)

大企業との比較

さて、ここで中小企業の労働分配率を見てみると、大きな特徴が2つあります。

一つは、大企業に比べて中小企業の労働分配率は高いということです。この理由には、
 
①大企業の利益率が高く、利益に対する人件費の割合が低い
②大企業が人件費以外にかけるコスト(企業の内部留保等を含む)が大きい

が主に挙げられます。
大企業が利益率が高い要因には、生産機械やITなどの労働生産性を上げるための投資余力が大きいことにも起因しています。

近年の推移

労働分配率の近年の推移を見てみたいと思います。大企業とともに中小企業の労働分配率は低下傾向にあります。よく国民の豊かさを論じるときに、「実質所得」という表現が使われますが、単純に言えば「給料が上がっても物価が上がれば、実質的に所属増ではない」という事になります。ここで物価に直結するのが企業の売上です。従って、企業の売上から得られる利益に対し、人件費として分配する労働分配率が上がれば実質所得の増加に寄与するとも考えられます。(直結するわけではありませんが)

一概に労働分配率の上下だけで良し悪しを判断する事は出来ませんが、企業競争力を十分に保ちながら、従業員の満足度を高めるために最適な労働分配率を模索していく必要があるかもしれません。

2020年版「中小企業白書」(1)

2020年4月に中小企業庁より公表された「2020年版「中小企業白書」」からのトピックを紹介します。中小企業白書は、以下のサイトから取得できます。
(リンク:中小企業白書サイトへ)

企業数は減少傾向

 日本の企業数は、大企業も含めて減少傾向にあります。これは総人口の減少と大いに関係がありそうですが、一方でスタートアップ企業が増えることで、小規模化はあるにせよ企業全体の総数は増えても良いはずです。

 近年、社会問題化している中小企業の承継問題とも無関係ではないはずです。優良企業であっても、経営の担い手がおらずやむなく廃業をする企業も多く、優秀な製品や技術が消滅してしまうという問題が取りざたされています。

黒字でも廃業

出典:中小企業庁ウェブサイト (https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/                    2020/PDF/2020_pdf_mokujityuu.htm)

 上記でも見て取れる通り、2019年は休廃業・解散件数は前年2018年より減少はしましたが、その企業のうち前年度が黒字だった企業が半数を超えています。
ここから、単純に企業業績だけが休廃業・解散の原因ではない事がうかがえます。

しかし、一方で中小企業の労働生産性の向上は課題とされており、その向上施策の大きな主力がDX(デジタルトランスフォーメーション化)と考えられています。