リモートワーク導入事例

ここでは、リモートワークを導入を支援したA社の事例を紹介します。

A社の概要

A社は首都圏近郊に本社を置く家具の製造・販売を行う中小企業です。社員は、製造部門・販売部門・管理事務部門合わせて40名の規模です。コロナ禍にあって、リモートワークを進めたいと考えましたが、どのように進めたら良いか相談があり、支援を行いました。

導入対象部門の特定

まずは、どの部門がリモートワークが可能な業態であるかを特定しました。製造部門等、どうしても現場業務が必要な部門は除き、リモートワークがしやすい部門から導入するようにしました。

特定されたのは、主にパソコン業務が中心となっている販売部門と管理事務部門でした。ただし、製造部門も他部門との連絡や会議があるため、リモートワーク化しても支障がないような業務設計も留意するようにしました。

業務整理

以前のブログでも書いた通り、リモートワーク導入には業務運用の整理が必要です。管理業務部門の押印・郵便・電話番等はシェアワーキング化し、特定の人がいないとできない事がないような体制にし、持ち回りで出社日を決めて対応するようにしました。

また、管理業務については業務日報の提出や会議等を極力オンラインで実施するようにし、出社・休日の管理についてもオンラインツールで行えるように取り決めを行いました。

オンラインツールの選定

リモートワークに必要なオンラインツールには以下の図のように3つの観点からのツールが必要です。導入する企業のIT環境に応じて最適なツールを選定すれば良いです。以下の図は代表的なツールも一緒にまとめています。

当社作成

A社は、メール機能はGoogleのGMailを使っていましたので、「GSuite」を採用する事にしました。「GSuite」は、チャット機能(Google Chat)やデータ共有機能(Google ドライブ)を有しているため、社内のオンライン会議やデータ共有は「GSuite」で行うようにしました。開始前には、社内で勉強会を開き、スムーズに業務ができるようにしました。

また、Google カレンダーを活用し、各社員の出社状況や会議の予定等は全員が共有できるようにし、スムーズなコミュニケーションを図れるようにしました。

社員のリモート環境の整備

社員がリモートで業務が行えるようにするには、リモート環境の整備も必要です。具体的には、パソコンやインターネット接続環境です。A社では本人が希望すれば個人所有のパソコンを使用可としました。ただし、セキュリティを担保するために、ファイル権限の設定やダウンロード不可設定、その他の取り扱いルールを決めて運用するようにしました。

個人パソコンを使用したくない社員には、パソコンを支給し、これには行政の補助金を活用しました。

また、自宅にインターネット環境がない社員にはWifiルータを支給し、持ち回りで使用するように工夫するようにしました。

今後の運用

リモートワークは始める前の整備も必要ですが、始めてからの運用の改善も重要です。社員の働き方の変化に対し、常に改善活動を行う必要があります。定期的に社員にアンケートを取るなどして、より良い環境作りを継続していく事で、会社にとってベストな形が出来上がっていくと思います。

リモートワーク

リモートワークについて簡単にまとめました。

リモートワークについて

コロナ禍の影響で、半ば強制的にリモートワークが進んだ企業は多いですが、リモートワークの実施には、IT面のインフラ整備や仕事の形態の変革が求められます。特に中小企業はIT面のインフラ整備が進んでいない企業が多く、一から整備しないといけない場合もあります。

総務省では、リモートワーク(テレワーク)の形態を、「在宅勤務」・「モバイル勤務」「サテライトオフィス勤務」の3形態による勤務と定義しています。

出展:総務省サイトより

テレワークを導入する場合、業務の内容により上記中のどのような形態を導入するかを定める必要があります。

リモートワークの構成

以下は当社でまとめたリモートワークの構成図です。

JHインベストメントまとめ

リモートワークのの導入にあたって、大きく以下の点を整備する必要があります。
①業務運用の整理
 ⇒押印・郵便・電話番等、会社にいないとできない業務の運営方法の確立
②業務マネジメントの整備
 ⇒自宅で業務行う社員の勤怠管理・評価方法等の確立
③ITインフラ整備
 ⇒会議や連絡等のコミュニケーション手段、ファイルの共有の方法等の確立

このように、リモートワークと言っても単にITインフラだけを整えれば良いわけではありません。会社運営全体を見据えて、整備する必要があります。

一方で、単なるコロナ対応だけではなく、社員の働き方の自由度の拡大や、災害時の業務継続(BCP)など、会社にとって攻めの経営につながる大きな武器にもなります。

次回は、テレワークの導入支援を行った事例をご紹介します。

デジタル化応援隊

 今回は、中小企業基盤整備機構(中小機構)の施策にひとつである、「中小企業デジタル化応援隊事業」をご紹介します。

割安でIT専門家を活用

 中小企業には、大企業並みのIT部門が整備されていない事が多く、経営者自らがシステム化のリードを行っている場合が少なくありません。また、販売促進や業務効率化のためのシステム導入(最近はDX化と呼びますので、このブログでもDX化と呼びます)も、規模や業務量に合ったソフトを選択する必要があります。

そこで中小機構が、IT専門家をマッチングさせ、専門家に支払うコンサル報酬の一部(基本的に、3,500円/時間)を謝金として補填する事業を行い、中小企業のDX化推進を図っています。事業のサイトは以下になります。

中小企業デジタル応援隊サイトへ

出展:中小企業基盤整備機構・デジタル応援隊サイト

中小企業向けソフトも用意

中小企業がDX化したい案件を登録すると、その案件に対応できる登録IT専門家から提案が届きます。両者合意できればプロジェクトの開始となります。

デジタル応援隊事業では、中小企業に推薦するDX化ソフトの紹介サイトも用意しています。(必ずしもこの紹介サイト上のソフトを導入する必要はありません)

「ここからアプリ」サイトへ

出展「ここからアプリ」サイト

上記のように、業種や業務領域に応じて、ソフトを選択することができます。
筆者もデジタル化応援隊のIT専門家登録を行っていますので、ご興味のある方は是非ご連絡下さい。
(注:事業自体は来年2021年2月末までの実施分が対象となります)

ご連絡フォームはこちらから

2020年版「中小企業白書」(2)

中小企業白書からのトピック(2)です。

労働分配率について

出典:中小企業庁ウェブサイト (https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/                    2020/PDF/2020_pdf_mokujityuu.htm)

まずは、労働分配率についてですが、その前に付加価値の概念を理解する必要があります。付加価値とは単純に考えれば企業(個人)がモノ(サービス)の売上から、材料等の仕入れを引いた額の事ですが、かかった人件費は考慮しません。

人件費は、得た利益を従業員に分配するものとの考え、上記の付加価値に対して分配した利益の割合を「労働分配率」といいます。(上記「図1」参照)

大企業との比較

さて、ここで中小企業の労働分配率を見てみると、大きな特徴が2つあります。

一つは、大企業に比べて中小企業の労働分配率は高いということです。この理由には、
 
①大企業の利益率が高く、利益に対する人件費の割合が低い
②大企業が人件費以外にかけるコスト(企業の内部留保等を含む)が大きい

が主に挙げられます。
大企業が利益率が高い要因には、生産機械やITなどの労働生産性を上げるための投資余力が大きいことにも起因しています。

近年の推移

労働分配率の近年の推移を見てみたいと思います。大企業とともに中小企業の労働分配率は低下傾向にあります。よく国民の豊かさを論じるときに、「実質所得」という表現が使われますが、単純に言えば「給料が上がっても物価が上がれば、実質的に所属増ではない」という事になります。ここで物価に直結するのが企業の売上です。従って、企業の売上から得られる利益に対し、人件費として分配する労働分配率が上がれば実質所得の増加に寄与するとも考えられます。(直結するわけではありませんが)

一概に労働分配率の上下だけで良し悪しを判断する事は出来ませんが、企業競争力を十分に保ちながら、従業員の満足度を高めるために最適な労働分配率を模索していく必要があるかもしれません。

2020年版「中小企業白書」(1)

2020年4月に中小企業庁より公表された「2020年版「中小企業白書」」からのトピックを紹介します。中小企業白書は、以下のサイトから取得できます。
(リンク:中小企業白書サイトへ)

企業数は減少傾向

 日本の企業数は、大企業も含めて減少傾向にあります。これは総人口の減少と大いに関係がありそうですが、一方でスタートアップ企業が増えることで、小規模化はあるにせよ企業全体の総数は増えても良いはずです。

 近年、社会問題化している中小企業の承継問題とも無関係ではないはずです。優良企業であっても、経営の担い手がおらずやむなく廃業をする企業も多く、優秀な製品や技術が消滅してしまうという問題が取りざたされています。

黒字でも廃業

出典:中小企業庁ウェブサイト (https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/                    2020/PDF/2020_pdf_mokujityuu.htm)

 上記でも見て取れる通り、2019年は休廃業・解散件数は前年2018年より減少はしましたが、その企業のうち前年度が黒字だった企業が半数を超えています。
ここから、単純に企業業績だけが休廃業・解散の原因ではない事がうかがえます。

しかし、一方で中小企業の労働生産性の向上は課題とされており、その向上施策の大きな主力がDX(デジタルトランスフォーメーション化)と考えられています。