2020年版「中小企業白書」(4)

中小企業白書からのトピック(4)です。今回は、支援機関の有効活用策をご紹介します。

外部支援機関の活用

中小企業は大企業に比べ、人財や資金が潤沢にはなく、高品質なノウハウやスキルを持っていても、その応用や展開については限界があったりします。これらの中小企業が持つ新しい技術やサービスを醸成し、地域や日本経済を担っていくことは、経済全体の活性化につながります。

中小企業が成長していくために、様々な支援を行う機関が存在しますが、2020年版中小企業白書では、支援機関の有効活用についてまとめられています。

出典:中小企業庁ウェブサイト (https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/                    2020/PDF/2020_pdf_mokujityuu.htm)

上記の解説では、「社外の相談相手からのアドバイスを受けることで、自社の強みや経営課題がより明らかに」なるとされています。第3者の目で客観的に分析することで、自社の状況が把握できることは、普通にうなずけます。自社の強みや経営課題を把握するだけでも、次なる打ち手の策定ができるようになり、非常に有用であるかと考えます。

外部支援機関の事例として、商工会議所の支援が紹介されています。

事例

出典:中小企業庁ウェブサイト (https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/          2020/PDF/2020_pdf_mokujityuu.htm)

ここで、行われた事例として参考になる点がひとつあります。現状分析を行う際に、経済産業省が提供している分析ツール(「ローカルベンチマーク」)を活用している点です。中小企業に対する支援施策がいろいろと存在し、効果的に活用できることを示していると思います。

支援機関側に求められること(支援機関連携)

次に支援機関側に求められることとして、支援機関側の連携が挙げられています。これは、「商工団体(商工会・商工会議所・中央会)は、一人当たりの対応事業者数が多い」ことから、きめの細かい対応を実現するためには、その他の機関が連携を強化していく必要があります。

出典:中小企業庁ウェブサイト (https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/
2020/PDF/2020_pdf_mokujityuu.htm)

事例

出典:中小企業庁ウェブサイト (https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/
2020/PDF/2020_pdf_mokujityuu.htm)

支援機関連携の事例として、長野県飯田市の事例が紹介されています。これは非常に参考になる事例です。従業員2名の小規模製造企業が、製造過程で出る廃棄物の有効活用の支援を申し入れ、連携組織の支援によって受注まで発展したというものです。外部の支援がなければ実現しなかった事例だと思います。

まとめ

事業は、様々な関係先との連携が発展のための重要要素であると言えます。支援機関もそのひとつであり、有効に活用していきたいです。

行政手続きの電子化(1)

今回は、行政手続きの電子化について記載します。

求められる行政手続きの電子化

昨年、コロナ禍における国民や中小企業の支援政策として、国民への一律特別定額給付金や中小企業には持続化給付金の支給が実施されました。しかしながら、手続きが大変だったり、マイナンバーを使用した電子申請をおこなった方が給付が遅れたりと、政策自体はさておき、同様の海外の施策実施のスムーズさと比べると、運用についてはあまり好意的な評価ではありませんでした。

その要因のひとつとして、行政手続きの電子化(DX化)の遅れと言われています。マイナンバーを使用して申請したものを、実は受け付けた自治体が電子情報を他のシステムに手入力していたという笑えない話がその実態を物語っています。

政府行政の電子化

菅政権となってから、デジタル庁の創設など、行政の電子化が公に推進されていくことになりました。まだまだ行政手続きの電子化が遅れていると記述しましたが、それでも利用可能な電子サービスは存在します。ここでは、「e-Govポータル」をご紹介します。

行政の総合ポータルサイト「e-Gov」

e-Gov(いーがぶ)は、法令や行政文書等、行政が扱っている文書が検索できたりしますが、一番の利点は、行政機関に対する申請・届出等の手続きが電子的に行えることです。届け出機関に書類を提出しに行ったり、行っても順番待ちで長いこと待たされたりすることがありません。また、一度作成したデータは再利用が可能ですので、企業の基本情報や変更の必要のない事項を毎回記入する必要がありません。

e-Govサイトより

但し、昨年(2020年)の11月までは、e-Govを利用した申請や届け出には、「電子証明」が必要でした。電子証明を取得するためには、代表者のマイナンバーカードを利用するか、電子証明の発行機関から取得(有償)するかが必要で、中小企業にはハードルが高いものでした。

e-Govの利便性が向上

昨年(2020年)の11月に、e-Govがアップデートされ、e-Govを利用するためのアプリケーションのログイン方法を複数から選択する事が可能になり、その中に「GビズID」を利用する事が可能になりました。

「GビズID」を利用してe-Govを利用すると、電子証明を取得していなくても可能な申請や届け出があります。厚生労働省が管轄している労働保険関係手続の電子申請もその対象になっています。

厚生労働省ホームページより(赤線は筆者加筆)

GビズIDとは

GビズIDは、元々経済産業省が行政の電子化を進めるために運用していたもので、GビズIDを利用して、社会保険の手続きや補助金の申請等が電子的に可能でした。一方、電子申請が可能な手続きの種類は圧倒的にe-Govの方が多いので、GビズIDを、e-Govで利用できることで、利便性が大きく向上しました。

参考:GビズIDサイト(https://gbiz-id.go.jp/top/)

GビズIDは、上記サイトから取得申請を入力して、必要書類(印鑑登録証明書)と一緒に申請することで、約2週間ほどで取得可能です。

今後に期待

行政の電子化は着実に進んでいます。これらを活用する事で、申請や手続きの効率化が進む事で日本全体の企業競争力の向上に寄与することにもなります。活用を常に念頭におきながら企業運営を進めていきたいです。

請求業務効率化事例

ここでは、販売請求システムを導入して、請求業務効率化を支援した事例を紹介します。

B社の概要

B社は首都圏近郊に本社を置くチラシや広告の企画・設計を行う中小企業です。社員は、企画設計部門・営業部門・管理部門合わせて20名の規模です。

仕事は、チラシや広告を作成したい企業からの依頼を受け、見積・契約・実施・納品請求と一連の業務をプロジェクト単位で進める形態となります。この中で、請求業務等が手作業中心で進められており、見積や顧客情報との連動がなく、毎回同じ情報を手入力していたため、誤入力等の2重作業が発生し、非常に煩雑でした。

この一連の業務を効率化したいとの事で相談があり、DX化を行うことで効率化を図る支援を行いました。

現状課題と改善要望

まずは、上記のような現状を社長と管理部門責任者とのヒアリングによって把握すると共に、どのような課題を解決したいかの整理を行いました。挙がった課題は以下の通りです。

 ● 見積~請求までの一連の業務で活用される顧客情報管理の統一化
 ● 業務内容や請求金額/タイミング等の契約情報管理の電子化
 ● 電子化された契約情報に基づく請求業務の電子化・自動化

1~2点目は、今回の支援の目的である3点目の請求業務の効率化に向けて必要と考えられる解決課題となります。上記課題の解決に向けて、適切なソフトウェアの選定に入る事になります。

ソフトウェア選定

以前のブログ「デジタル化応援隊でも書いた通り、中小機構が中小企業向けに活用できるソフト集を紹介するサイト「ここから」アプリを活用しました。

「ここからアプリ」サイトより

当サイトにて、導入したい業務を「検索」ページから検索する事ができます。今回は「請求」と入力して表示されたソフトが21件表示されました。この中から得られる情報と、「メーカーホームページ」(当サイトからリンクが貼ってある)から得られる情報から、機能面・規模感・金額感等、B社の課題にマッチすると思われるソフトをいくつか選定し、比較表を作成しました。

この比較表を基に、B社社長・管理部門責任者の方と打ち合わせを重ね、メリットデメリットを比較検討しながら、課題が解決でき、コストパフォーマンスがよさそうなソフトの選定を進めていきました。

お試し導入

ソフトウェアの選定を進めた結果、最終決定したソフトウェアは、トライアル(無料使用)が可能でしたので、トライアルを申込みました。トライアル期間では、実際に業務を行う社員の方に利用してもらい、機能上の制約や運用上の課題・問題点を洗い出して、有償利用を行うかどうかの最終決定を行った結果、本採用となりました。

最後に

ソフトウェアは導入前後の業務とのすり合わせが重要です。小規模とはいえ、1回運用が始まれば、安易に他のソフトウェアに乗り換える事は得策ではありませんし、それなりに運用も変わっていきますので、一定期間使う事が求められます。しっかりとした準備を行っていきましょう。

中小企業とSDGs

今回は、SDGsについて中小企業の関わりについてご紹介いたします。

SDG(エスディージーズ)について

まず、「SDGs」とはという事ですが、英語の Sustainable Development Goals の頭文字をとった略称で、日本語では「持続可能な開発目標」と称されています。

人類の永続的な存続に向け、解決すべき課題を認識し地球規模で取り組むため、2015年9月の国連総会で採択されました。2030年に向け、17のグローバル目標と169のターゲット(達成基準)の具体的行動指針が示されています。
(2015年までの達成を目指していたミレニアム開発目標 (MDGs: Millennium Development Goals) が継承)

最近は認知度も上がり、国レベルはもとよりあらゆる企業・団体・機関等が達成に向けた取り組みを始めており、上記ロゴの入ったバッヂを胸につけている方を多く見かけるようになりました。

国レベルで取り組み

ここでは、全てはご紹介しませんが、日本においても国レベルで取り組みを進めています。(以下クリックでリンク先に行けます)

 総務省:関係府省の協力の下で我が国の指標の取りまとめ

 外務省:SDGsに関連した取組を幅広く紹介(Japana SDGs Action Platform)

 環境省:SDGsの活用ガイドを作成

以上は、国レベルの取り組みの例示ではありますが、自治体・民間企業・機関等、又は個人レベルまでのあらゆる組織が取り組んでいます。

グローバル課題意識の向上

このように、取り組みの拡大に背景には、グローバル社会の中にあって、認識されている各課題を解決しなければ、人類と地球そのものの存続が危ういという意識が浸透しているからではないでしょうか。ひいては、他者や環境全体を意識しながら活動や生活を行うことが、自己利益につながるという考え方が今後の人類共通の認識となりつつあるとも言えます。

日本の企業数の99%を占め、従業者の70%が働いている中小企業も、その中のひとつであり、むしろ大きなインパクトを与える存在です。そして積極的に活動も始めています。個々の形態に応じて取り組むテーマと取り組み方はさまざまであり、17のグローバル目標と169のターゲットの中に必ず何らか取り組めるものが存在します。

最後に、導入として読みやすい本をご紹介させていただきます。

「明快! 中小企業のためのSDGs経営 」
出版社 : 梓書院 (2020/7/1)
著者:越川智幸

2020年版「中小企業白書」(3)

中小企業白書からのトピック(3)です。今回は、差別化や新規事業による付加価値の増大をご紹介します。

差別化と新規事業

企業は、モノやサービスを買ってもらって売上や利益を得ますが、買ってもらう理由がそこにあるからです。他の企業のモノの仕入れや部品になる、又は買った個人の生活が豊かになる等です。そしてそのモノやサービスを生み出す源泉となるものが優位性です。

高機能なモノを提供できる(製品優位性)、商品を安く提供できる(価格優位性)、何らかの満足感を与えられる(サービス優位性)、これらの優位性を保ちながらモノやサービスを提供しています。そしてこの既存の優位性を活用して、新商品・新サービスを生み出すのが、差別化と新規事業になります。

差別化・新規事業がもたらす付加価値

出典:中小企業庁ウェブサイト (https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/                    2020/PDF/2020_pdf_mokujityuu.htm)

上記の解説では、「新たな製品・サービスの開発など、顧客に新たな価値を提供するような他社との差別化は、付加価値の増大につながり、生産性の向上に貢献」、
また「一般に、販売数量と販売単価は、トレードオフの関係と考えられているが、新たな事業領域に進出した企業の約4割で、数量・単価が共に向上」とあります。

確かに、上記「図2」から、新規事業領域に進出した企業のうち、39.8%が販売数量の増加につながり、18.7%が販売単価の上昇につながっています。

事例

出典:中小企業庁ウェブサイト (https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/          2020/PDF/2020_pdf_mokujityuu.htm)

ここで、事例を紹介します。大きな特徴は、新規事業に進出したことにより、下請企業から脱したことである。下請け企業からの脱却は中小企業にとって大きな飛躍の契機となるものです。ここからも新規事業進出が中小企業の発展のカギとなることが分かります。

また、コア技術を発展させることにより、シェア拡大につながった事例も重要です。先ほどの優位性を最大限発揮するようにさせる事が、カギであることも見て取れます。

まとめ

新規事業への進出や差別化が、中小企業にとって事業発展の重要な要素であることが分かりましたが、大事なことは常にその構えと努力を継続することだと思います。

自社にない技術やサービスを新しく生み出すのはかなりハードルが高いです。今持っている優位性はどこにあるか、その優位性を高める方途はあるのかを常に検証していくことで、価値ある新しい取り組みが生まれると思います。

明けましておめでとうございます

2021年の幕開け

明けましておめでとうございます。昨年は世界的に激変の2020年となりました。本年2021年は、激変に対して新たな生活様式・活動様式を構築し、人類が新たな世界を作る希望の年として位置付けることになると考えます。

各自が出来ることを

各自が出来ることを考え、実践して進んでいけるようにしていきたいと思います。本年もよろしくお願いいたします。